『トライゾン』。


彼女は『彼』が手塩に掛けて育てた。


『神奈河 南』がそうした様に『彼』もまた人を育てている。


トライゾンは『彼』の一番弟子。


生徒会への編入はその伝(つて)である。


「君の仕事は、誰にでも出来ることじゃない。君にしか頼めない。他の誰もが裏切ったとしても、君さえいればどうにでもなるんだ」


そう言って『彼』は彼女の頬に手を伸ばし、後ろ髪を掻き上げた。


「任せてください。会長の為にこの身が滅びようとも、尽くします」


それは心強い。


そう言って『彼』は薄く笑った。







決戦は今から一週間後。


思い出を守る為。思い出を残す為。


同じはずなのに背反する、不可思議な矛盾の戦いが行われる。


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