「神奈河君」
真乃枇杷の眼が、僕を刺す。
「…なんですか?」
僕は知らず知らずの内に更に身構える。
「君には、期待してるよ。【神奈河】の名を持つ君に、ね」
それじゃあね。
彼、真乃枇杷はそう言って去って行った。
その背中が校舎の中に消えるまで、僕等は結局動く事は出来なかった。
一体、何だったんだあの人は。
全然、人を威圧するような感じはなかった。
けどその圧倒的な力って言うのは肌にヒシヒシと伝わる。
どうやら脅かすつもりはないようだけど隠すつもりもないみたいだ。
「…夏樹君。大丈夫か?」
ハレルヤ先輩の手が僕の肩に置かれる。
だけど。
「ハ、ハレルヤ先輩?」
手は小刻みに震えていて、湿っぽい。
「僕より、桃東先輩が変なんです」
「アズマが?」



