この位は平均的な試合時間だと思うのだが。


「長いですかね。これ?」


『長い。奴らなら、本気を出せば。そうだな、二分も掛からんよ』


奴らなら二分も掛からない?


「あれ。私どっちが勝ったかって言いましたか?」


確かまだ言っていないはず。


しかし電話の主は決めきった言い方をしている。


『缶蹴同好会が、サッカー部程度に負けるわけが無いだろう』


さも当然の事。といった感じの声。


「…随分と缶蹴同好会を買い被りますね?」


『買い被る?』


【彼女】は小さく息を吐く。


「だってそうでしょ?大して強くはないサッカー部相手にこの戦いぶり。それに人数だって五人とギリギリです」


はっきり言って、今みたサッカー部の実力は期待を大きく下回るものだった。