眠くはない。


ただする事がないからこうして机に突っ伏し腕の中に顔を埋めているのだ。


誰か声掛けてくれるかな~。なんて考えながら。


まぁ、そんな奴いる訳ないんだけどさ。






突然、ドアが勢いよく開かれて「ズガーン!!」と悲鳴を上げた。


うるさいな。と言う感想と共に顔を上げると教室前方の入り口に見知らぬ女生徒が一人立っていた。


女生徒は僕の、と言うよりクラス全員の視線をモロに受けながらも平然としていて、そんなもの意にも介さないみたいに僕等を見渡す。


女生徒はその腰まで伸びた濡れ羽色した艶やかな黒髪を颯爽(さっそう)と靡(なび)かせ一段高くなっている教壇へと上がる。


黒板を背景にした女生徒は、一言で言い表すならとても美人だった。


黒髪とは対照的に白い、白絹さえ嫉妬に狂いそうな白肌。


顔を成す個々のパーツは完璧だと言えよう。