あぁ。流石に三発目は多分。
死ぬ、かな。
【勇者】の拳が僕に解き放たれる。
……我ながら、バカな事をしたと思う。
【勇者】の言うとおり、『神奈河』の負けを認めれば良かったかも知れない。
だけど、それは僕の負け以上の意味を持つ言葉だ。
バカ姉の、負け。
僕はバカ姉がどのくらいこの缶蹴りの世界で畏怖と尊敬で固められてるかはわからないけど。
きっと、スゴいんだろうな。
もしまだこのパンチを喰らって生きてられたら、桃東先輩に聞いてみよう。
僕は、目を瞑る。
さぁ、来い。
【勇者】の拳が風を裂く。
来るべき衝撃に身構えた。
「バシィ」と人体を打つ音がした。
しかし、衝撃はない。
痛みも来ない。



