酷く耳に反響するバカ姉の名。
バカ姉はこんな化け物さえ圧倒してきたってのか…。
「ふん。貴様に勝った所で恥でしかない。だが、残念な事にだな貴様の名前、いや。名字には俺の武勇を上げる糧になってもらう」
「…な、に?」
【勇者】の口角がそのまま裂けるんじゃないかというくらいに鋭くつり上がる。
「言え。『神奈河は【勇者】の前に屈し、敗北しました』とな」
なん、だと?
この男は、一体何を言ってやがる。
『神奈河は、敗北しました?』
僕に、言え。だと。
「ほら。言わなければ、首が折れるぞ?」
「…ぐ、あぁぁぁっ!?」
ミシミシと首と頭蓋骨が音を立てる。
痛い。けれど、体が動かない。
ツラい。痛い。許してほしい。
もう、言ってしまおうか?



