なっ!?
かわされたっ!?
今のは渾身の一撃だぞ!?
「甘いぞ、ガキ」
拳をかわし、一瞬で僕の懐に入ったマッチョ。もとい【勇者】。
その右拳が僕の腹を抉る。
痛烈な一撃。
僕の勢い、それに【勇者】の拳と二乗の衝撃は僕をくの字に曲げ宙へと浮かす。
凄まじい痛みが「まだ、終わらんぞ」
続く第二撃。
振り下ろさた左拳はやはり腹部へと。
背中から地面に叩きつけられる。
「ガッ…ゲ…ァ」
息が、呼吸が、出来ない。
死、ぬ。
「缶蹴りを舐めすぎたな、ガキ」
缶蹴り、関係なくない?
とは思ったが、口に出せる訳もない。
口から出るのは吐しゃ物と血反吐だけ。
痛みで、視界が霞み意識を保つので精一杯。



