とはいえ。
例えば何か策を講じていたとしても僕等には缶を踏まない理由がない。
とりあえず缶だけは踏んでおこう。
僕は円の中に入り、缶を踏もうとした。が。
「待って!」
桃東先輩が僕を止める。
「ちょっとだけ、拳で語り合」
言い切る前に駆け出す辺りが桃東先輩のチャーミングな所なのだろう。
そう思わないとやってられない。
しかし。
桃東先輩が突っ込んで。
ハレルヤ先輩。フランシア先輩。柿宮が偵察に行って。
これで本当に僕の活躍の場はなくなった訳だ。
遠目で、一応、語り合っているらしい桃東先輩の荒々しい様を見る。
女子なのに勇ましいなあ。
西木と呼ばれた男子はほとんど瞬殺だった。
二秒も保ってない。



