「梨乃原、葡萄園。二人共お疲れ様」
手から埃を払うようパンパンと叩きながら桃東先輩がゆっくりとした歩きでやって来た。
「いや~。縛ってた三人ね。恨み言をスッゴい残してったよ」
「あ。解放してたんですか。あの人達」
「当たり前じゃない。解放しないと次の試合が始まらないんだから」
あ。それもそうか。
「ところで、お二人さん。【勇者】様、どうだった?」
【勇者】様、どうだった?
それは一体どういう…。
「強かったよ。やっぱり」
スポーツドリンクを飲み干したのか、丁寧にビニールラベルを剥がしながらハレルヤ先輩が言う。
「伊達に二つ名持ちじゃないよ。彼」
そうかな。
口に出すつもりはないが。正直な所、さっきの試合を見る分にはあまり強くはないように見えた。



