「油断したなっ!?」
俺は身を低くして駆け出す。
缶までは、円を挟んで多分互いに同じような距離だが、それならば一瞬早く飛び出した俺の方が早く辿り着く。
アーベント・イェーガーは、ハハ。
しまった。みたいな面してやがらぁ。
俺の足が、缶に影を落とす。
「アーベント・イェーガーちゃん、取りぃ!!」
地割れでも起こす位に思い切り缶を踏みつけた。
踏みつけた、つもりだった。
だが舞う土埃の中、幻のように。缶はそこにあった。
俺は、缶を、踏んで、いない?
「フランシア。そのまま動かないでくれ」
聞こえたのは、聞き覚えのある。
…忌々しい声。
「貴様。…晴夜」
目の前にいたのは、静かそうな優男だった。



