「西木!!諦めるな!?お前の足は誰より早いんだ!!諦めるな!!」
しかし、俺の声は届いてるのか電話越しからは『ハァハァ』と言う息遣いしか聞こえない。
「西、木」
届かない、声。
今アイツがどういう状況なのか俺にはわからない。
きっと想像を絶する恐怖から逃げているのだろう。
変われるものなら変わってやりたい。
だがそれは叶わない。
俺に出来る事は電話越しから励ます事だけ。
「西木」
思い出す。アイツとのサッカーをしていた頃。
生意気だった。
「西、木ぃ」
最初から礼儀のない奴でいくらそれで怒ったことか。
だが、サッカーは上手かった。
西木なら、次のキャプテンに任せられる。
そう思うくらいに上手かった。



