王国ファンタジア【氷眼の民】


レインの周りに冷気が漂う。


啖呵を切った長老はレインのただならぬ魔力に怯え、後ずさりした。


十歳の子供に気圧される長老。


傍から見れば異様な光景だが、レインの実力が分かる光景でもある。


「止さぬか二人とも」


一触即発の中、大長老が仲裁に入る。


長老は大人しく氷の刃を消し、元の場所に座りなおした。


「レイン。なにか勘違いしておるようじゃが、そなたの実力を買って我々はお主を選んだのじゃ。氷眼の民に伝わる秘術を使えるのはワシとお主の二人のみ。ドラゴンなどという得体の知れぬ生き物と戦うには、ただの氷結魔法では手の打ちようはないのじゃ。わかるな」


大長老の問いにレインは反応を示さない。


興味がないと言った感じだが、大長老の次の言葉に顔色を変えた。


「お主が無事ドラゴン討伐の任に付き、王への信頼を勝ち取れば、お主の両親を解放しよう」