寧ろ楽しそうに頬を緩ませている。
「氷眼の民の者がなぜここにいる! 貴様らには招集はかけられていないはずだ!」
「即刻発ち去れ! さもなくばその首を国王陛下へと差し出すぞ!」
「首をね……。お前たちに出来るかな?」
「なにを言って―――」
門番の表情が歪む。
レインに向けていた矢尻が凍り始め、徐々に柄の部分にまで氷結していく。
慌てて槍を手放すと、槍は完全に凍りつき、亀裂が走って粉々に崩れてしまった。
門番を腰につけた短刀を鞘から抜き出すと、レインは手にしていた絹の袋を一人の門番に投げ渡した。
ゴツと鈍い音がし、袋は門番の足元に落ちる。
「なんだこれは?」
敵意を剥き出しに門番が問う。


