王国ファンタジア【氷眼の民】


王都。王宮前。


王宮の入り口である門には、屈強な二人の門番が立っていた。


王宮では国中から集まれた選りすぐりの戦士達が、ドラゴン討伐の命を受けている。


どこぞの里の代表は美しかった、どこぞの里の者は強そうだ。と、二人の話題は戦士達のことで持ち切りだった。


と、門に近づく少年の姿を、門番が発見した。


黒髪に黒いローブを纏い目には包帯、絹の袋を引きずりながらこちらにやって来る様は、まさに不気味と表すに相応しい。


少年が近付くと、門番は持っている槍を交差させて少年の進路を妨害した。


「何者だ。名を名乗れ」


「レイン。氷眼の民と名乗れば察しがつくだろ?」


「氷眼……? まさか、反逆者の!」


槍を持ち直し、刃をレインにと向ける。


刃を向けられているというのに、レインは全く動揺していない。