王国の遥か東北。


名もなき砂漠地帯に、とある民族がひっそりと暮らしていた。


氷眼の民。


氷蒼の瞳を持った彼らは氷結魔法に優れており、かつて王の側近としてこの国を影から支えた優秀な一族であった。


だがその名誉も今や影も形もない。


反逆者の汚名を着せられた一族は王都から追放され、この辺境の地へと飛ばされた。


この地へ赴き早数十年。


一族の復興を切に願う大長老の元に、ある噂が届けられた。


かつての主君、そして氷眼の民が暮らしていた王都に、ドラゴンが奇襲してきたというのだ。


さらに王国の名だたる部族に文を送り、戦士の徴集をかけているらしい。


ドラゴン討伐の任務。


これをこなせば一族の信頼は回復し、氷眼の民の力を国中に知らしめることが出来る。