悪魔のクッキング

ビニールに入っていたのは、20代前半の若い男だった。

しかし白目をむき、首には絞められた痕があった。

「おっ、良いじゃねぇか! アンタんとこ、良い仕事するな!」

「まあ本当だねぇ。奥さん、これならお子さんも喜ぶんじゃないかい?」

「そうね! 今日はせっかくだから、コレを頂くわ! 今すぐ捌ける?」

「モチロン! 肉屋の意地にかけて、上手く捌くさ!」

「ちょいと待っててね! 今、コッチに代金を払うから」

精肉屋の妻が仕入れ業者の男に金を支払っているうちに、精肉屋の周囲には人盛りができてきた。

みな買い物カゴを持った、奥さま達だ。

制肉屋の夫が引きずっていくピニール袋を、興味津々に見つめている。