悪魔のクッキング

しかし愛する家族の為、夕方、商店街へ買い物に出た。

精肉店で働いている中年夫婦とは、親しき仲になっていた。

「こんにちわ~。今日の特売は何かしら?」

「いらっしゃい。奥さん。今日はホルモンが安いよ!
若くて活きの良い肉が、しこたま入ったんだ!」

「ホルモンは旦那さんが好きなんでしょう? いっぱい買ってあげたら喜ぶわよぉ」

「他にもレバーにカルビ、ロース、皮、軟骨にタンもどうだい?」

「お安くしてくわよぉ。奥さん、上得意さまだから」

2人でニコニコと勧めてくるものだから、妻は引きつった笑みを浮かべるしかない。

「じゃあ…全部貰おうかしら? でも安くしてね!」

「あいよっ! さすが太っ腹だねぇ!」

「ちゃんとオマケもするよ。食べ盛りのお子さんが2人もいるんだしね」

「でも随分と仕入れたのね? 急にどうしたの?」