悪魔のクッキング

「…行って来る」

「明日はアナタの好きな焼肉にしますから、我慢してくださいな」

「っ!? 愛しているぞ! 母さん!」

「はいはい」

いきなり抱き着いてきた夫の頬にキスをし、笑顔で見送った。

「…ふぅ。まったく。ウチの家族は肉食が多くて困るわ。今、どのお肉も高いのに」

ブツブツ言いながらも、皿を片付け始める。

冷蔵庫を見ると、お肉だけが残り少なくなっていた。

妻は料理が得意だった。だから料理の腕を褒められることは、素直に嬉しい。

…だが。

「得意料理は魚の方なんだけどね…。または野菜」

吐くため息は重かった。