『あたし、急ぐんでっ…』



早口でそう言って、ありすちゃんは、



そのまま素早く俺のそばから走り去ろうとした。



そんなありすちゃんの腕を俺は軽く掴んで、



『待って!!俺さ、自分がありすちゃんに最低なことしたのは自覚してる…申し訳なく思ってる。本当はもっときちんと謝るべきだった…。伝えるべきだった……ごめん…』



と、言って頭を下げた。



『そんなの…聞きたくないっ…なんで……謝らないで…』



『ダメだ。言わせて…』



俺はそのまま頭を下げ続け、何度となく謝った。



『本当に…申し訳なかった…ごめん』



『謝るなんて止めて…。悠はどこまでも最低っ…ズルいよ…』



もっと言いたいことを伝えたくても言葉にならない俺に、



ありすちゃんの冷たい視線と口調が突き刺さる。



心の底からの想いを口で伝えるのは難しいことを実感した。