忘年会当日。


朝早くから会社へ出向き、仕事の合間に手掛けた小さいステージをトラックへ積み込みオヤジと弟の駿、シンゴを連れて駅前の広場へやってきた。


「春磨なんか、ここまでやって彼女に振られてしまえ!」


なんだか機嫌の悪いシンゴ。


「すまん。振られる事はないな。お互い愛しすぎちゃって逆に困っちゃうくらいや(笑)」


「幸せな奴はみんな死ね!」


最近振られたばっかのシンゴ君。


羨ましい気持ちは分かりますが、不吉な事言うの止めて。


せっせとちゃっちゃと、ステージ組んで、照明にコンポセッティング。


運動会で使うような白いテントを2つ並ばせ、石油ストーブ設置。


何とか形にした俺のステージ。


出来上がったステージを眺めてるとオヤジがスーツ着たおっちゃんと話してるのに気付いた。


オヤジも俺を見て手招き。


「ども」


スーツのおっちゃんに頭を下げると


「春磨、コイツ市長やで。もっとちゃんと挨拶せい!」


マジかよ!(汗)


そういや、ポスターで見た事あるかも?


「初めまして。桜田興業の桜井春磨です。この度は無理なお願いにご了承頂きありがとうございます。」


「おー!てっちゃんの息子かぁ!立派になったな。結婚すんだって?幸せになぁ~」


市長っもっと威厳っぽいと思ってた。


しかし…この市長よくしゃべる(汗)


この後もオヤジとベラベラ喋ってて、俺はその場から逃げた(笑)