彼女は階段を上りきった先の一つの置物の前で立ち止まった。 「ここに、長がおられる」 「ああ………っ」 その置物に彫られた文字を見た瞬間、俺の足から力が抜けた。 “雷電の民最後の族長 エレクここに眠る” うずくまり、立ち上がれない俺に静かな声が降ってくる。 「百年ぐらい前やったかな、当時まだ治療法の無かった疫病が流行ったんや…」