中学校時代最後の年の春。


俺は野球部を辞めようとしていた。



2年の夏。

俺は本気になって野球をしていた。

今の柚と同じように。


練習をすればするほど、上手くなっていく自分が嬉しくて、上を目指したいって思っていた。


練習すれば弱小だって優勝できるんじゃないかと思ってたし、実力をつければ野球の強い高校に入れるって思ってた。

だから、必死にやらないチームメートたちに、酷い言葉をたくさんかけた。

強くなりたかったら。



今思えばそれは独りよがりの野球で・・・・・・。


だからみんなは自然と俺から離れていったんだ。

チームから浮いていく自分が嫌だった。



居場所がなくなった。



そんな時支えになろうとしてくれたのは修平だった。


修平は俺とチームメートたちとの間に入ってくれて、俺の知らないところで、


「もうちょっと元気出して練習しようぜ」


と俺の思いを柔らかく、みんなに伝えていてくれたんだ。


なのに、当時の俺はそんな修平にさえも腹を立てて・・・・・・。


何から何まで中途半端にして、最後の大会を惨敗という結果に導いてしまった。


修平は泣いていた。

誰よりもたくさん。

それを見て俺の目からも涙があふれた。


その時修平がしてくれたことの大きさに、初めて気がついたんだ。