――――――――…………
「だーーかーーらっ!!
何回言えばわかるんだよ!」
「なんで駄目なんだろうなぁ。
絶対美味しいと思うんだけど」
「ダメなもんはダメなんだよっ!
何度やったってレモンティーにクリームは入れらんねぇの!」
「うーむ……」
ハァッ、ハァッ……。
一体、何回言えば覚えるんだ、この人は。
何回?何十回?
いや、何百回オレに同じこと言わせるつもり?
………そんなことを思っている今この瞬間も、兄さんは不思議そうな顔をして自動販売機をいじっている。
レモンティーにクリームを入れられないことに、まだ納得がいかないらしい。
全くこの人は……
「兄さん、そろそろ帰……
って、あれ?」
さっきまで自販機のボタンを壊しそうな勢いで連打していた兄さんの姿が見えない。
一体どこ行ったんだ?
グルリと店内を見渡すと、一瞬で見つけた。
女性の店員と、何やら二人で話している。
ここからだと、話の内容は聞き取れないが。
……にしても、相変わらず目立ってるな。
もちろん、いい意味で、だけど。
俺は兄さんに歩み寄ると、後ろから声を掛けた。
「ほら、もう行くぞ……」
「おぉ、アサヒか。
ちょっとそこで待っててくれ。
……それで、あの自販機なんですけど。
レモンティーにどうしてもクリームが入れられないんですが、どうし「おい」
.