バン!


ゴン!


「いてっ!」




勢いよく開けた扉は兄さんの頭を直撃して、その痛みに兄さんが声を上げた。


外に出ると、兄さんは扉の前に座ったまま頭を擦っていた。


「アサヒ、お前なぁ……」

「何してんだよ、こんなとこで!」


兄さんの言葉を遮ってオレは声を荒げた。

マンションの廊下にオレの声が響く。




いつからここにいたのかとかなんで家に入らないのかとか、聞きたいことは山のようにある。

けどそれと同じくらい、胸がきゅうっと締め付けられて気を緩めたら涙を零してしまいそうだった。


見下ろす兄さんと視線がぶつかる。

先にその視線を外したのは兄さんで。


「いや、その……」

頭をポリポリと掻きながら言いにくそうにする。


「何、してんだよ……」

兄さんの言葉を促したオレの声は、心なしか震えていた。




「その……
 鍵、落としたみたいで、さ……」











……………………はぃ?




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