マンションが建ち並ぶ住宅街。 静かなはずな夜に、叫び声が飛び交っていた。 「やめて…っ」 「う、うるさい!…今更何!?今までずっとほったらかしにしてたくせに…っ」 マンションの屋上にいる女の子は、一瞬悲しそうに眉を潜めた。 「…もう、無理。…ばいばい…お母さん」 「夏希……っ!」 …あぁ、死ぬんだ。 あたし…… 体が風を切る感覚なんて、夢で感じたくらいかな。 きっと、もう ――夢も見れないんだ。