「楓って騙されやすいのな」

私達が学校へ着くと
あのコウジが
靴箱の前に立って
そう言い、笑った。

「あれ本当に焦るから」

楓は上靴を出して、
ふくれながら言った。

そんなことでふくれる楓に
コウジはまた笑う。

「悪い、悪い」

コウジが
謝る気が明らかに
見えないのは明らかだった。

こんな、二人は
少しくだらない言い争いを
ちょっとの間、
繰り返していた。