「あ、やばい」

コウジが長々と続く
坂の上にある学校の校門を
くぐって見えなくなった時、
楓が言った。

どうやら、
時計の存在は
忘れているように見える。


「楓、時計見てみなよ」

そう私が言うと
楓はハッとして時計を見つめ、
まだ登校者も
ちらほらいる道で一言叫んだ。


「コウジ、覚えてろよ!!」

楓が焦っている姿を見て
笑い転げている
コウジの姿が目に浮かんだ。


その時、楓の時計は
8時過ぎを示していた。