ふと近くで 聞き覚えのある 声が聞こえ、 緑の葉が生い茂る現実へと 引き戻される。 「お前ら、遅刻するぞ!」 その声の主は 自転車でそう言って 走り去って行った。 「コウジ、今何時?」 楓は走り去って行った 自転車の人物に叫んだ。 楓の左手には 腕時計が鈍く光っている。 腕時計の存在を 忘れているのか、 それとも、 ただ友達と会話を したかったのか… 私はそのことを 楓が隣で眉間に シワを寄せてる間、考え込んだ。