その後 "たんぽぽ"は きれいなガラス製の花瓶に 一輪、 水とともに入れられた。 "たんぽぽ"が 再び元気な姿を 見せることは無かったけど、 それでも 楓は満足そうだった。 「僕が摘まなかったら たんぽぽさんは まだ咲いてられたのに…」 楓がしおれた "たんぽぽ"を見ながら そう言っていた姿を 私は今でも 忘れることはない。 さっき、 桜の花びらとのお別れを 惜しんでいた楓と キノコ頭の楓とが重なった。