玄関でまだ靴を脱いでいた
男の子がちらっと
見えたけど、
私はリビングまで急ぐ。

「おかえり、まどか」

お母さんは優しく、
ゆっくり言った。

「おかあさんもバラ、すき?」

赤色バラをお母さんに
向けながら私が問う。

「大好きよ」


そのバラを
お母さんは笑顔で
受け取って
テーブル中央の花瓶に
バラをさした。