「おかあさんってば!」

だんだん足音が
大きくなったと思うと
ふっと、
レジスタンドの奥から
きのこ頭の男の子が
ちょこっと顔を出した。

「はい、バラでいいかな?」

その声が聞こえて
ないのだろうか?

おばさんは男の子の方を
見もしない。

変わりに
私に赤いバラを差し出して
そう、言う。