『何処ってミイを送るんだよ。ほら上着来て?』





「すぐ側だし、大人なんだから1人で帰れるもん。子供扱いしないで」




膨れる私とは反対にクスクス笑うタカちゃん。





『12月に入って日も短くなってきたし、暗いと危ないだろ?大人の女性は変質者とかそういうの気にして夜の一人歩きには気をつかうものなの』





ミイの上着を手に持って、そのまま私に羽織らせる。



「…ズルイ。こんな時だけ大人扱いして…」





そうすればミイが言うこときくってわかっててやるタカちゃんは、本当にズルイ。



惚れた弱味、なんだろうな。





『はいはい。それより、近くとはいえこんな薄着で出歩いたら風邪ひくよ?もっと厚着したら?』




「…タカちゃんの鈍感」




小さく呟いた言葉は聞こえなかったのか、タカちゃんは部屋のドアを開けて出ようとしていた。





薄着、じゃなくてお洒落なのに。




タカちゃんに振り向いてもらうための、服装だったのに。




ミイの精一杯のお洒落は今日もタカちゃんを射止められなかった。