切恋~First Love~



でもまだヤるって決まったわけじゃないよね。


そう自分に言い聞かせて、足を動かした。


ていうか学校のどこに行けばいいんだろ・・・。


「・・・ん?」


歩いていると、どこからか耳障りな音が聞こえてきた。


ブオオォォォオンッ


ブオオォォォオンッ


学校に近づくに連れて徐々に大きくなっていくその音の源は、どうやらバイクみたいなもののようだ。


正門に着いても神崎涼はいなかった。


「どこなんだろ、もー・・・」


どうせだからと思い、音のする方へ足を進めてみると・・・・・・裏門に着いた。


そこにあったのは大きな黒いバイクと、


「おせぇよ」


それに乗る、神崎涼――――。



バイクに乗ったソイツは、黒の派手なTシャツを着てダボダボのスウェットをはいていた。


学校の時より多めに付いている、ピアスやシルバー系のアクセ。


初めて見る神崎涼の私服姿は、誰がどう見ても不良以外の何でもない。


太陽顔負けの輝きを放つ、きれいにセットされた金色の髪。


その姿は自身が乗っている黒バイに異様なほど似合っていて。


学校の時より数倍も迫力があって、学校の時より数倍かっこいい。


神崎涼とその黒バイだけが、周りの景色から浮いていた。



あたしがしばらく神崎涼に見惚れていたのは、言うまでもない。