恋する受験生





指紋だらけのガラスに顔をくっつける。


すぐそこにあるのに、手には入らないぬいぐるみ。





受験って何だろう。


受験だからって何もかも我慢させられて

やりたいこともできないなんて

私には理解できない。





「欲しいなぁ」



またつぶやいてみる。




うるさくて誰にも聞こえない。



さっきまでいた中学生ももういない。


酔っ払ったサラリーマンが2人、真剣に何かを取ろうとしている姿が笑える。





あんな父親は嫌だけど、あの人なら私の気持ちを理解してくれるのかな。




「あ~!!!もう嫌!!」


騒がしい店内で大声を出すとスッキリした。





私が受けることすらできない頭の良い高校の制服を着た人が店に入ってきた。




頭が良いってだけで、なんだかムカツク。




ゾロゾロとゲーセンの中に入って来た。


6人も。



あの人達も、受験を乗り越えたの?

私みたいに、見たいテレビを我慢して、友達とも遊べずに勉強したの?