恋する受験生



「高校行きたくないの?」


「行きたい。でも、受験受験って言われるのがうざい」


「親に?学校に?」


「みんな。学校の先生も、親もみんな。何もかも我慢させられて、やりたいこともできない。見たいテレビも見れない。本もCDもだめ。何の為に生きてるかわかんない」



会ったばかりの人に、本音をぶちまける。


会ったばかりだから言えるのかも知れない。


私に関係ない人だから。




「気持ちはわかる。でも、それが受験。いろんなことを制限された中で、どれだけ自分らしく頑張れるか、楽しめるか、それが大事」



「俊って何者?」



親や先生に言われても、反発しちゃうのに、俊の言葉は素直に心に染み渡ってくる。



それは、俊も受験を乗り越えたから?


それとも……





「お前はまじめなんだよ。そんな真っ直ぐじゃ人生うまく渡っていけないって。親や教師がうるさく言うのは当たり前なんだから。大人を安心させながら、自分らしくやればいい。何でも自由よりも、多少制限されていた方が、楽しいってこともあるんだから」





俊みたいな先生だったらいいのにな。



でも、俊が先生だったら、やっぱり説教っぽく聞こえるのかな。