恋する受験生



「ねぇ!!高校って楽しい?」



会ったばかりの中学生に、いきなり名前を呼ばれてその上、わけのわからない質問をされた俊。


鳩が豆鉄砲くらったような顔ってこういう顔のことだと思う。



「何?もしかして、中学生?」


「そうだけど」


わざとらしく腕組みをした俊。



「こんな時間まで遊んでるってことは、家出か?」



「大正解!!って言いたい所だけど、プチ家出かな。ちゃんと家に帰るよ」



俊の顔はコロコロと表情が変わって面白い。


高校生のブレザーってちょっと憧れてたんだよね。





着崩し感がかっこいい。



俊は、ブレザーの中に着たチェックのシャツをズボンから出していた。


そんなに寒くないのに、首の回りをぐるぐる巻きにマフラーで巻いていた。


黒の手編み風マフラー。



きっと彼女の手編み。


もしくは、マザコンでママの手編み。



「じろじろ見んなよ」


「ねぇ、俊の高校って頭いいんでしょ?」


「俺が頭良く見える?」


「要領良くて、先生に内申良くしてもらったって感じ」


「お~!正解!お前、勘いいじゃん」



ゲーセンから出た私と俊は、並んで歩く。


男の子と一緒に歩くなんて経験ないけど、なんか気分いい。


それに、誰が見てもスタイル抜群で外見的には合格点だもん、俊って。


背の低い私と並ぶと、ますますかっこよく見えるんじゃない?