恋する受験生




3000円も頑張ったのに。


私にくれるの?


うれしいけど、嬉しいけど、なんで?





「あの!!」すたすたと歩く俊の腕を掴んだ。


「何?」



眉間にしわを寄せた顔で振り向いた。


そんな怖い顔しなくてもいいじゃん。



「いらないの?」


「欲しいけど」


「何?」


「どうして?」


「俺、いらないから」




また歩き出す。





「ありがとう!!!」


「欲しかったんだろ?」



今度は優しい笑顔で振り向いた。



「俊!!」




心の中で呼んでいた名前を口に出してしまった。



「俺の名前なんで知ってんの?」


「え…… あの、なんとなく、勘?」




もっといい返事ができればいいのに。

勘なわけないよね。



「天才じゃん。お前」