「ありがとうございました!」

店を出ていくお客様に、私もお礼を言って小さく頭を下げた。

店内にお客様はいないし、枯れ葉を踏んで通り過ぎていく人々が、ここによっていくとも思えない。

ちょっと休憩しよ。

そばに置かれていたイスを足で引き寄せて座ると、ついだらけてカウンターに左の頬をつけた。

その体勢のまま、持ち上げた腕の時計を見る。

10月。
私の誕生日の午後3時。

花と土の臭いがまじった店内に暖かい陽射しが差し込む。

うとうとしながら考えた。

彼はどんなプレゼントをくれるのだろうか。

どんな言葉をくれるのだろうか。