腕時計を見ると、そろそろバイトの時間だ。

「じゃ、委員長。また明日ね」

軽く手を振り、全力ダッシュで走った。

「あっ、コラー! 廊下は走らない!」

声ももう遠く聞こえる。

そのぐらい、アタシの足は速い。

勢いを衰えさせないまま、アタシは学校を出る。

途中、他の生徒達が笑顔で手を振ってきたり、またはイヤな顔をしたりする。

コレはしゃーないね。

学校の規則を忠実に守る優等生の風紀委員長派と、アタシは仲が悪い。

世間から見れば優秀な生徒ばかり集まる高校だけど、その分個性が強い。

真面目なのが1番とは言えないこの時代に、アタシみたいな自由な生徒がいたって不思議じゃない。

アタシは面倒見が良い人として、学校で有名だ。

その証拠に、風紀委員と対立する自立委員の委員長だから。