本当に嬉しくて嬉しくて。私は彼と話したいなんて 願ってなかったのに。 こんな幸運が来てくれるなんて。 「いいえ、じゃあ」 「はい」 彼は私の元から去って行った。人混みの中へ。 私は、彼から渡された定期入れを大事ににぎった。 顔が赤くなるのが分かる。今日は横顔だけじゃない。ちゃんと目が合って、正面から見えた。