僕もちょっと気になってた。
小学校の頃なのに、どうして覚えて居るのだろうか。
むしろ、忘れてくれてた方が良かった。
あんな弱い僕の事なんか、一番彼女に忘れて欲しかった。
簡単な質問をしたはずなのに、彼女からの返事は帰って来ない。
しかも、凄く悩んでるみたいで可哀想になった。
簡単な質問だと思ってたのに、そこまで悩まれたら悪い気にもなる。
「そんなに深く考えないで下さい!別に言わなくても大丈夫ですから。ごめんなさい。」
僕は、彼女に駆け寄り謝る。
そして彼女の顔から、悩みが消え、落ち着いてきた。
「落ち着きましたか?でわ、僕はこれで。」
そう言って彼女から離れ歩きだす。
「また会えるよね。」
後ろから彼女の声が聞こえる。
僕は、振り向いて頭を下げた。
本当はもう会いたくない。
僕の弱い過去。
それを一番知っている彼女には会うのが辛い。
教室に戻り、クリアファイルの奥に挟んであるクラス分けのプリントを取り出す。
そして、彼女の名前を探す。
1年3組 『桜木紗希』
本当だ。
夢じゃない。
「はぁー。どうしよう…。」
僕は、呟いた。