「いらっしゃいませ…」


ピンポーンと入り口のセンサーが
反応して音を鳴らす。

それに書き物をしていた手を止めて
顔を上げれば、見覚えのある姿がそこに立っていた。



「あれ、一人なん?」
「あと一人来る……10時からやけど」
「へぇー、物騒やなぁ。
 一人とか危ないやんか」


「ちゅーか…なんで来てん?」


「え?ぁ…えーと……ぁ、
 牛乳プリン!食いたくなってん」




どもりすぎ。なんっちゅー見え見えの嘘。
ハァ、と溜め息こぼしながらレジから出る。

彼はにっこり笑って
あたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。