視界が定まらない。


空間が歪んでいる。


僕は目を細めて意識を集中する。


目の前に、女の足先がある。


床が波打っている。


僕は倒れている。


床に這いつくばっている。


何故だ。


「あ、効いてきたっぽいね……」


女が何か言っている。


「円城寺くん、ずっとピンピンしてるから、量が足りなかったのかと思ったよ!」


女の言葉は明瞭に聞き取れるが、話の道筋が見えてこない。


「ワインにね、こっそりおクスリ混ぜといたの。円城寺くんがチーズケーキ切ってるとき」


「……」


クスリ?

盛られたのか、僕は。

しかし何のために……?