ふと、左手に湿り気を感じた。
握った女の掌が汗ばんでいる。
女のほうを振り返ると、見るからに顔を強張らせていた。
「緊張してる?」
「う、うん。それはまあ……」
「僕もだよ」
久しぶりのオペであることのみならず、これほどの上物との巡りあわせは、そう滅多にあることではない。
過剰に意気込んでしまうのも無理はなかった。
僕は脱衣所のドアを開けると、念のために室内を素早くチェックした。
清潔な状態で整頓され、浴室へのドアも閉まっている。
問題ない。
浴室に常備されたオペセットは、先立ってメンテナンスを終えたばかりだ。
何一つ手抜かりはない。
「さ、服を脱ごう」
「なんかちょっと、いきなりすぎない? あはは……」
「そう?」
またか、と内心辟易するが、顔には出さない。
女という生き物は得てして、裸になるまでのプロセスに拘泥する。
肩を抱き寄せ、耳元で求愛の言葉を囁き、キスをする。
あいにくだが、そんな面倒なことには付き合っていられない。
そもそも、もうじきただの肉塊に成り果てるものを愛せるわけがない。
握った女の掌が汗ばんでいる。
女のほうを振り返ると、見るからに顔を強張らせていた。
「緊張してる?」
「う、うん。それはまあ……」
「僕もだよ」
久しぶりのオペであることのみならず、これほどの上物との巡りあわせは、そう滅多にあることではない。
過剰に意気込んでしまうのも無理はなかった。
僕は脱衣所のドアを開けると、念のために室内を素早くチェックした。
清潔な状態で整頓され、浴室へのドアも閉まっている。
問題ない。
浴室に常備されたオペセットは、先立ってメンテナンスを終えたばかりだ。
何一つ手抜かりはない。
「さ、服を脱ごう」
「なんかちょっと、いきなりすぎない? あはは……」
「そう?」
またか、と内心辟易するが、顔には出さない。
女という生き物は得てして、裸になるまでのプロセスに拘泥する。
肩を抱き寄せ、耳元で求愛の言葉を囁き、キスをする。
あいにくだが、そんな面倒なことには付き合っていられない。
そもそも、もうじきただの肉塊に成り果てるものを愛せるわけがない。