幸せのカケラ

忘れた自分に向けているのだろう。

君は、深い溜め息。



いや、僕にとってはこれはチャンス?

ついでに桜屋に寄って、大福を買えるじゃないか。



「じゃあ、僕が…」

「私、取りに行って来る」



財布と車の鍵を手に、ドアへと素早く移動する君。



え――……。




「僕が行くよ」

「大丈夫よ。あなた、忘れた場所分からないでしょう」

「カウンターだろう?」

「忘れた私が行った方が、店員の人も分かりやすいもの」


そりゃ、そうだけど。


「じゃあさ、ついでに…」

「寄り道してる時間は無いわよ?夕方になると、道が混んじゃうもの」



うわぁ…。

洞察が鋭い。



うまい言葉が見つからないままの僕の目の前で、君の手により、無情に閉められたリビングのドア。





……………。




大福………。






空しい。

これは空しすぎる。






慰めてくれているのか。

桃太郎が、立ち尽くす僕の足元に身体を擦り寄せてきた。


元気、出せって?






「桃太郎〜…」

抱き上げ、ムクムクした背中に頬擦りしてみた。



「……は…くしゅ」


鼻に毛が入った…。