プシューッ
ついにドアが閉まった。
「…拓海…拓海っ」
流れてくる涙を抑えられない。
拓海は優しく笑ってた。
そして拓海はなにか言った。
声は聞こえないけど
口の動きで分かった…。
だ・い・す・き・だ・よ
固まっている私の前で
電車はゆっくりと発車した。
そしてすぐに見えなくなった。
「…美優」
10分ぐらいたって
翔太が声をかけてきた。
私は顔だけ向ける。
「家まで送る」
「…。」
首を左右に振る。
すると河原さんが動いた。
私の目の前に立つ。
「美優ちゃん」
「…?」
「話したいことがあるの…」
「…なんですか?」
「あたしの家に来て」
河原さんの話したいことが
気になって私は小さく頷いた。
翔太は複雑な表情をしたけど
すぐに1人で歩いていった。

