プシューッ 電車のドアが開く。 「…あ、着いたよ」 拓海が席を立つ。 私も荷物を持って立った。 電車を降りるとすぐに 独特な海の匂いがした。 「…海の匂いがする…」 「そうだね」 私の小さな呟きに 拓海は答えてくれた。 私たちは無言のままだった…。 少し歩いて浜辺についた。 「…座る?」 「…うん」 拓海は上着を脱いで砂浜に広げた。 あ…付き合ってた頃みたい…。 「どーぞ座って」 「でも…拓海の上着に砂が付くよ?」 「全然オッケーだし」 ホントに…優しい…。