「最悪っ!」 早足で屋上のドアに向かう。 けど後ろから手を掴まれた。 「待てよ」 「騙すとかヒドイしっ!」 「…なんか悔しかったんだよ」 「?」 言ってる意味が分かんない。 どうゆうこと…? 「兄貴は拓海って呼んでるじゃん」 「それは…昔そう呼んでたから…」 私は言葉を詰まらせる。 今は拓海のことは考えたくない。 「兄貴に負けたくないから」 「いや…勝負じゃないでしょ…」 「勝負だよ」 キッパリとそう言いきった。 ホントに真剣な表情…。 私はため息をついて口を開いた。