アスカが何かを言いかけた。
でも、その声は丁度鳴ったチャイムの音に引き裂かれて、あたしの耳には届かなかった。
あたしたちはまた後で、と言って自分の席に座った。
やがて担任が入って来て、両手に抱えたプリントの山をきょうたくの上に無造作に置いた。
「いいか。
急遽自習になった。
クラス委員はこのプリントを全部配れ。
少し長い時間掛かるかも知れんが、くれぐれも私語はしないように。
それからこのプリントが今の時間中に終わらなかった奴居残りだ。分かったな。
質問は。」
淡々と、何時もとは少し違った口調で話す担任。
教室を支配する張り詰めた空気に、皆声を出せないようだった。
「…ないようだな。
よし、始め!
……それから…」
号令に合わせ、皆が一斉にシャーペンを動かし始めた。
そのカリカリと言う音だけが教室の中に流れていた。
「それから、タニバタ。
話がある。
先生についてこい。」
「…はい」
なんの話か、予想はついていた。
あたしが席を立った時、ハルキが小声で「自分で言いたくない事は言うんじゃねーぞ」と笑って親指を立てた。
あたしもコクリと頷き親指を立てる。
「タニバタ早くしろ。」
担任の声にあたしは小走りで出入り口を出た。



