風はサラサラと、道端に舞い降りた枯れ葉を流した。



昨日よりも全然軽い体と、ずっとずっと重たい心。

あたしは無表情のまま帰路を歩んでいた。



通り過ぎる犬に吠えられ、誰かにぶつかって、少し怒鳴られた。


でもそんなのは無視。

今の空っぽのあたしには何も見えず、何も聞こえない。


自分が今何を考えていて、どこに向かって歩いているのかさえも分からない。



「ユズ…?」

ぼーっとしたあたしをその声は目覚めさせた。



「ユズだよな?」

肩に置かれた手から伝わる温もりを感じた。


誰なのかは分かっている。



「良かった…

心配してたんだよ。」

そう言って眼鏡の奥から優しく微笑むのは


「ん?どした?」


ユウくんだった。